『アメリカ文化冷戦批評』が出版されました
2026.07.28
- Social Dilemma
- 未来の人類研究センター
- 書籍

ソーシャル・ジレンマ・イニシアティブを担当する未来の人類研究センター 山根亮一准教授の「アメリカ文化冷戦批評」が出版されました。
本書が取り上げる文化冷戦というのは、単なる冷戦期の文化ではなく、冷戦世界における文化を通じた覇権争いを指しています。冷戦期アメリカの文学者や批評家たちは、ソ連的な価値観に対抗するという国家的企図のため、自由民主主義、個人主義を掲げた出版活動や文化外交などを世界的に展開しました。日本も決して無縁ではなかったそのアメリカ文化冷戦の過程で、文学者たちが個人的、非社会的、審美的な作品を書こうとすればするほど、批評家たちはその態度を個人主義的、すなわち反全体主義的、反ソ連的と解釈し、その作品を文化冷戦の武器として再評価する、という状況が生まれました。
本書は、そうした文学と批評をめぐるジレンマ、つまり純粋に文化的、非政治的であろうとすることが、意図せずとも政治的な意味を持ってしまうという論理を、多角的に批評しています。「隣接」をこの批評の鍵語とすることで、この皮肉な論理が何を包摂し、排除していたか、そしていかにその囲い込み状況が、文学だけでなく、核兵器開発、ジェンダー問題などの多様な問題と絡まっていたかがわかります。究極的にこのアメリカ文化冷戦をめぐる批評は、未来を構想するときにいかにこの意図しない政治化の論理が問題になるかを予見させるでしょう。