【EEI】「培養した細胞を原料とする食品を表示するための一般的な名称」に関するサーヴェイ実験を実施
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東京大学先端科学技術研究センター経済安全保障インテリジェンス分野井形研究室の吉富愛望アビガイル客員研究員と、 東京科学大学未来社会創成研究院の日比野愛子教授は、「培養した細胞を原料とする食品を表示するための一般的な名称」に関するオンライン調査を、20代から60代のパネル参加者6,000名を対象に実施しました。
本研究成果は、“Consumer clarity or technological prestige? The choice of names: A survey experiment on Japanese nomenclature for labeling food made with cultured cells”(和訳:「消費者にとっての分かりやすさか、技術としての先進性か――培養した細胞を原料とする食品の日本語表示名称に関するサーヴェイ実験」)として、Future Foods(Volume 13, June 2026)に掲載予定(オンラインでは既に公開済み)です。

調査実施の背景・目的
培養した細胞を原料とする食品(Cultivated cell-based Food、以下 CF)の開発・生産には大きな注目が集まっています。CFは、動物そのものを飼育する場合に比べて、細胞に直接栄養を与えて増やすため、より効率的に動物性たんぱく質を生産できる可能性があり、持続可能なたんぱく質供給への貢献が期待されています。こうした背景から、国際機関でも安全性評価や制度整備に向けた検討が進められています。
一方で、CFの社会実装においては、安全性と同様に、食品表示上の名称をどのように定めるかが重要な課題です。現在、日本では「細胞性食品」、「培養肉」、「細胞培養食品」など、複数の名称が用いられており、消費者に混乱を生じさせる可能性があります。
そこで本研究では、培養した細胞を原料とする食品について日本で使用され始めている名称の特徴を明らかにし、それぞれの名称を用いる際の留意点を整理することを目的として、オンライン調査を実施しました。
調査結果
実験の結果、すべての評価基準において明確に最も優れた名称は確認されませんでした。
「細胞性」という名称には、従来の食品との誤認が生じにくいこと、また、「不自然である」という印象を比較的与えにくいという利点がみられました。一方で、生産技術を想起させにくいという課題がありました。
これに対して、「細胞培養」および「培養」という名称には、生産技術を比較的想起させやすいという利点がみられました。しかしその一方で、生産技術に対する理解が十分に浸透していないため、養殖魚と誤解されやすいことや、従来の食品と同質であると誤認されやすいことが課題として示されました。
以上のことから、いずれの名称を用いる場合でも、その名称だけで十分な理解を得ることは難しく、技術の特性や製造方法に関する追加的な情報提供が必要であることが示唆されました。特に、消費者の誤解回避を優先するなら「細胞性」、技術を伝えることを主眼にする場合は「細胞培養」および「培養」などが名称の選択としてあり得ることが示唆されました。
調査設計
調査方法:パッケージ画像などを用いたオンラインサーヴェイ実験
調査対象者:20代~60代のパネル参加者6,000名(男女)
有効回答人数:6,000名
割付方法:
● 5種類の名称 × 4種類の食品カテゴリーに基づき、計20種類のパッケージを作成しました。
● 各パッケージ条件に300名を無作為に割り当てました。
● 各条件の300名について、性別(男性、女性)および年代(20代、30代、40代、50代、60代)が均等になるように割り当てました。
調査内容:回答者は、20種類のうちいずれか1種類のパッケージを提示されたうえで回答しました。
食品カテゴリー:牛肉、ハンバーグ、さけ、かまぼこ
調査期間:2024年3月15日~3月19日
論文情報
論文名:Consumer clarity or technological prestige? The choice of names: A survey experiment on Japanese nomenclature for labeling food made with cultured cells
著者名:Megumi Avigail Yoshitomi, Aiko Hibino
掲載誌:Future Foods
公開日:2026年3月25日
DOI:10.1016/j.fufo.2026.101004
研究支援等
本研究について著者らに開示すべき利益相反はございません。ただし、本成果はNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の支援により、ZACROS株式会社「契約管理番号(23201347-0)」からの委託業務にて得られたものです。
お問い合わせ先
東京大学先端科学技術研究センター 経済安全保障インテリジェンス分野